事故多発で事故対応ワーキングチームからの提言
現代の登山事故の特徴の3つのキーワード
「中高年」・「下り道」・「転ぶ」
中高年登山者の身体トラブルベスト3は 「筋肉痛」・「下りで脚がガクガク」・「膝の痛み」
4番目は「上りで苦しい」 ⇒原因は脚筋力の不足と心肺能力の不足
思い当たることありませんか 要は体力不足です!
登山の運動強度はかなり高いのです。運動強度を示す単位に「メッツ」があります。
「メッツ」とは、ある運動をしている時に使うエネルギーが、安静時の何倍に当たるかを示しています。
ハイキングは6メッツ、バスケットボール・ゆっくり泳ぐ水泳・エアロビクスなみです。
一般的な登山は7メッツ、ジョギング・サッカー・テニス・スキーと同じです。
自分が登山で継続できる運動強度はどれくらい?
これをバテずに登れるマイペース登高能力といいます。
「行ける山」を知るために計ってみましょう。
★11月19日に公開山行の藤原岳で「マイペース登高テスト」を
実施します。
足自慢・太腿自慢の会員の方、登りに自信がない会員の方、
11月号会報の掲載中!ぜひ参加下さい。
バテずに登高できるマイペース
〇最高心拍数の75%以下の心拍数を保って登高すれば、バテずに歩けます。
年齢 |
最高心拍数(拍/分) |
登山中の目標心拍数(拍/分) |
40代(並の人) |
174~180 |
130~135 |
50代(並の人) |
167~173 |
125~130 |
60代(並の人) |
160~166 |
120~125 |
70代(並の人) |
153~159 |
115~120 |
80代(並の人) |
146~152 |
110~115 |
最高心拍数=208-(0.7)×年齢
心拍数の測定は
・立ち止まってすぐに15秒間の脈拍数を数え、それを4倍して1分当たりの値に換算する。
・心拍計を使用する。
「きつさを感じる手前」がマイペースの上限!きつさを感じたらペースが速い。
マイペース登行能力テストのやりかた
場所 |
無雪期の整備された登山道。乾いて歩きやすい路面状態。ある程度急な傾斜が続き、平らな区間や下りのないコース。1時間は登り続けられるコース。 |
方法 |
初め10分程度のウォーミングアップ歩行。その後主観強度が「きつさを感じる手前」で登高し、1時間で垂直方向にどれだけ登高で来たかを調べる。または標高差がわかっている区間を何分で歩けたかを測り1時間あたりの登高能力に換算する。 |
評価方法 |
評価表を用いて何メッツの強度で歩けたかを照合します。自分の目的とする登山に必要な能力に達しているかどうか確認できます。 |
注意点 |
全力でなく、マイペースでの登高能力を見るテストです。「きつさを感じる手前」は「息切れしない速さ」「小休止を挟みながら1日中歩ける速さ」とも言えます。 |
評価表・・・運動強度をメッツの数値で表します。
メッツ |
山での登高速度(m/h) |
平地での歩/走速度 (m/分) |
||||
ザック無し |
体重10% |
体重20% |
体重30% |
|||
4 |
210 |
190 |
175 |
160 |
100 |
歩行 |
5 |
300 |
270 |
250 |
230 |
110 |
|
6 |
385 |
350 |
320 |
295 |
110 |
ジョギングと歩行 |
7 |
475 |
430 |
395 |
365 |
120 |
ジョギング |
8 |
560 |
510 |
470 |
430 |
130 |
ランニング |
9 |
650 |
590 |
540 |
500 |
146 |
|
10 |
735 |
670 |
615 |
565 |
162 |
メッツの数値が示す基礎体力の程度
約6メッツ:低山ハイキングなら問題ないが、本格的登山をするには心許ない。
約7メッツ:日本アルプスなど無雪期の一般ルートなら問題なく登れる。
約8メッツ:夏のバリエーションルートや、雪山の一般ルートを問題なく登れる。
*山のグレーディングで見ると
6メッツの基礎体力は「難易度A・Bで体力度1・2」
7メッツの基礎体力は「難易度A・B・C体力度3以上」
8メッツの基礎体力は「難易度D以上」
参考資料:「マイペース登高能カテスト」について(Rev.2)長野県山岳総合センター
発行:ふわく山の会:ワーキンググループ