アルパインクライミング練習会のご案内

本年からアルパイン部の中にバリエーション山行を専門に企画実施する「バリエーション山行企画チーム」を立ち上げました。チームのスローガンは「バリエーションルートに挑戦する目標を持っているふわく山の会会員の夢を実現します」です。

 よろしくお願いいたします。    チームリーダー 2971濱田

今年は憧れのバリエーションルートを登ってみませんか。いままでとはグレードの違う登山に挑戦しましょう。アルパイン部バリエーション山行企画チームでは、アルパインクライミング練習会の参加者を募集します。

今回の企画では、4月~6月で5回の岩場でのアルパインクライミング公開練習を行い、7月に練習の集大成として八ヶ岳バリエーションルートの“小同心クラック”を登攀します。

さらに夏山では有名バリエーションルートの“西穂~奥穂”を予定しています。アルパインクライミング練習会に参加して、バリエーションルートへの扉を開きましょう!

頂上直下チムニー前

頂上直下チムニー前

2016年 春夏練習会日程

月日(曜日) 場所 練習内容
4月2日(土) 定光寺/瀬戸 トップロープ練習  リードクライミング確保技術 コール確認
4月17日(日) 立岩/豊橋 リードクライミング確保技術 懸垂下降技術 ザイルワーク コール確認 2ピッチリードクライミング
5月14日(土) 南山/豊田 リードクライミング確保技術 懸垂下降技術                         ザイルワーク コール確認
5月29日(日) 御在所/三重 前尾根でアルパインクライミング
6月5日(日) 御在所/三重 前尾根でアルパインクライミング
7月23日(土)~24日(日) 八ヶ岳小同心クラック 一泊二日で本格的バリエーションルートを登攀します
7月30日(土)~8月1日(月)   北アルプス西穂高~奥穂高 北アルプスを代表する急峻な岩稜を縦走します 穂高の魅力満載ルートです                                  

*山域は変更になる場合があります。

*小同心クラック/西穂~奥穂への参加は、技術・体力・パートナーシップが不十分と思われる方は参加をお断りすることがあります。

独標の頂上で記念写真。青空に槍の穂先と小槍が聳えています。素晴らしい景観に見とれるばかりです

独標の頂上で記念写真。青空に槍の穂先と小槍が聳えています。素晴らしい景観に見とれるばかりです

申込要領

≪募集人数≫10名5回の練習会すべてに参加可能な方に限ります。定員の都合上こちらでメンバーの選定をさせていただきますことをあらかじめご了承お願いします。)

≪対象者≫バリエーションルートに挑戦する目標をお持ちのふわく山の会会員の方

≪保 険≫遭対基金5口以上(又はそれに準ずる保険)

≪用 具≫ハーネス・クライミングシューズ・ザイルなどの登攀用具一式が必要です。

≪費 用≫ 各回の交通費

参加申込≫集締切は1月8日  1月号会報の記載要領に従って受け付けます。

     1月末日に参加可否のご連絡をいたします。

 会員NO、〒、住所、氏名、年齢、血液型、遭対基金口数、クライミング歴、

 昨年登った山、目標にしているバリエーションルートの記載をお願いします。

≪申込先≫ 2971濱田 1月会報を確認して申し込みください。

 

<バリエーションとは>

『バリエーションルート』の定義はいろいろある、 ふわくで言うバリエーションルートとは、「登山地図で岩稜帯などに代表されアルパイン要素の高い登山道(昭文社のエアリアマップでは赤の破線)」のこととしています。因みにバリエーションルートというのは和製英語で、「ノーマルルートに対して、テクニカルなルート」と言うことになります。しかしマウンテンでは、登山道のないルートをバリエーションルートと言っていて、最近では広く一般化されサブルートシリーズとして山行が行われています。 これに対してアルパインでは登山道の有無ではなく、技術的な困難度の高いルートをバリエーションルートとしています。最近のある山岳雑誌にあった記事に、「八ヶ岳の県界尾根は(無雪期には一般路だが)積雪期には一級のバリエーションルートになる」というような使い方を見た。この例はアルパイン系の使い方です。 バリエーションルートとは変化に富んだコースで、バリエーションの変化に富むということは「楽しいとか面白いの意味では無く」、登山地図には一般の登山道とは違い地図には無かったり、なかには踏み跡程度のけもの道だと思って下さい。具体的に言うと沢道だったり岩稜帯だったりで、迷い易いのでルートを熟知した人と同行が必要とされるコースです。」 岩稜を登攀して立った頂きには、登山道を登って立った頂きとは比べ物にならないくらいの達成感が待ってます。『穂高連峰や剣岳 等々』の岩稜帯歩きや『北鎌、北尾根、源次郎 等』のバリエーションルートが正にバリエーションルートの代表的な困難なルートと言えます。このバリエーションコースの目標は、安全に岩稜帯を通過したり、入門的なバリエーションを登攀する技術を身につるためのものですが、やはりクライミングやロープをつけての行動の経験が一定求められるものと言えます。

 

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更なる高みのバリエーション

アルパイン部では更なる高みをめざすために数々のバリエーションコースの公開山行を実施しています。以下のコースは一例ですが、夏山一斉登山や夏場の公開山行で参加募集をかけていますので、腕(脚)を磨いてぜひとも参加して下さい。

 

山域

解説

1

焼岳・西穂高岳・奥穂高岳縦走

一般難ルート(ハイグレードハイキング) 西穂-奥穂間はⅡ級くらいの岩場が連続するロングコース。 一般登山者にとってはちょっと本格的な岩稜歩き

2

表妙義縦走

一般難ルート(鎖はあるが危険度が高くバリエーション入門レベル) 鷹戻し~東岳の岩場自体はⅢ~Ⅳくらいで鎖がなければ谷川岳一の倉沢烏帽子岩南稜と大差ないレベルに感じた。現在の一般ルートとしては最高レベル。

※クライミング経験がない人は、ロープ持参で少なくとも懸垂下降が出来るようになってから臨むと、万が一の時も安心(安全)。

3

西穂高岳槍ヶ岳縦走

一般難ルート(ハイグレードハイキング・鎖あり) 西穂-奥穂はⅡ級くらいの岩場が連続する。念願の槍穂高完全縦走。 表妙義や戸隠西岳P1尾根などより鎖場の難度は低いが、高所にあるため、気象条件が厳しく、途中で天候悪化した時の判断等、別の面で前者より難しい。

4

無雪期 阿弥陀岳南稜

P3は左のルンゼを登って巻くノーマルライン。 冬はバリエーション入門ルートだが無雪期は易しめの破線一般ルートレベル。

5

無雪期 赤岳天狗尾根

一般難ルート(ハイグレードハイキング・鎖あり) 西穂-奥穂はⅡ級くらいの岩場が連続する。念願の槍穂高完全縦走。いつかは行きたい北鎌! 表妙義や戸隠西岳P1尾根などより鎖場の難度は低いが、高所にあるため、気象条件が厳しく、途中で天候悪化した時の判断等、別の面で前者より難しい。

6

長次郎谷より剱岳

バリエーション入門(雪渓) 雪渓状態で難易度が変わるので注意

7

北穂高岳東稜

無雪期バリエーション入門(岩稜縦走) 鎖がない分、西穂奥穂より技術的に難しい。ゴジラの背は見た目ほどではなかった(但し馬の背より高度感があり危険)。

8

残雪期 阿弥陀岳南稜

冬期バリエーション入門:1級/Ⅱ~Ⅲ-/④/1泊2日 幕営1泊2日 舟山十字路-阿弥陀岳中央稜との分岐-南稜取付-立場山-青薙ぎ-無名峰-(幕営)-P1P2-P3ルンゼルート-P4(巻く)-阿弥陀岳-往路下山

9

剱岳チンネ左稜線+八ツ峰6峰Aフェース

無雪期バリエーション初中級(マルチピッチクライミング) チンネ左稜線:4級下/Ⅴ/③ 八ツ峰6峰Aフェース魚津高ルート:3級/Ⅲ+/③

10

剱岳源次郎尾根

無雪期バリエーション初心者(岩稜縦走・尾根登攀(尾根コース)) <無雪期>1級/Ⅲ~Ⅳ/⑧/

過去、ふわくの仲間たちが大勢体験しています。

11

前穂高岳北尾根

無雪期バリエーション初心者(マルチピッチクライミングを含む岩稜縦走) <無雪期>1級/Ⅲ~Ⅳ/⑥)/<残雪期>3級上(③)  

12

槍ヶ岳北鎌尾根  

無雪期バリエーション初心者(短い登攀を含む岩稜縦走) Ⅲ(独標トラバース及び大槍の各1ポイント)・2泊3日 貧乏沢下降-北鎌沢右俣-北鎌尾根上半(独標はトラバース道中間より直登)-槍ヶ岳

13

甲斐駒・鋸岳縦走

一般難ルート(道標・鎖設置前でバリエーション入門レベル)。 大ギャップ周辺のルートファインディングが難しい

14

剱岳北方稜線

無雪期バリエーション入門(岩稜縦走・雪渓)。 Ⅱ級くらいの岩場歩き(鎖なし)多様な技術(ルートファインディング・雪渓歩き等)を要する点で西穂奥穂より難。小窓雪渓の下りで迷う。

15

戸隠西岳P1尾根

一般難ルート(バリエーション入門レベル、冬は完全なバリエーション)。急な泥岩壁・笹の痩せ尾根(刈った笹が放置されていて恐ろしく滑る)、見た目より危険度は高い。ロングコースで鎖場の下降は要注意!! 技術的には表妙義縦走と同等だが、こちらの方がロングコースで危険度が高い

16

前穂高岳北尾根・明神岳主稜

無雪期バリエーション初心者(マルチピッチクライミングを含む岩稜縦走) 前穂北尾根:<無雪期>1級/Ⅲ/⑥/<残雪期>3級上(③) 明神主稜:Ⅲ(Ⅱ峰の登り) 北尾根は雨の登攀。明神は下山路に虫の多い長ーい痩せ尾根

17

残雪期 阿弥陀岳北稜

冬期バリエーション初心者(雪壁・岩稜登攀):1級上(④)or2級(⑤)/Ⅲ/3~5時間(行者小屋~阿弥陀岳)。 急な雪稜・雪壁アイゼンを履いての岩登り凍った泥岩壁の登攀雪のナイフリッジの通過等コンパクトながら変化に富んだ好ルートだった。阿弥陀南稜でP3を直登した場合と同レベル

18

奥穂南稜

奥穂南稜はウェストンの初登ルート(1912年8月)でバリエーション初心者ルート(登攀を含む岩稜縦走)。このコースは夏山一斉登山で毎年実施されていますが、バリエーションの夏場のトレーニングとしてよく実施されています。

19

明神岳主峰東稜

無雪期はバリエーション初心者(岩壁登攀を含む岩稜縦走)Ⅲ+  核心部の20mスラブ(バットレス)はピトンベタ打ちで問題なかったがその下の岩を巻いて浅いルンゼを登る部分や第一階段は草つき混じりの脆い逆層の岩場で見た目より難しく感じた(フィックスロープはボロボロで全く使えない)。

20

残雪期 横岳西壁石尊稜

冬期バリエーション初心者(岩壁・岩稜・雪稜登攀):1級上(④)or3級(⑤)/Ⅳ-

21

横岳西壁小同心クラック

無雪期バリエーション入門(短いマルチピッチクライミング) (参考)冬期バリエーション初級:2級上(④)or3級上(⑤)/Ⅳ ガイドブックによると小同心の頭までの大半がⅣ-~Ⅳ(但し冬のグレード)。左岩峰基部から見上げたときも写真より急に感じた(75°くらい?)。下部の集塊岩の階段状フェースでは人頭大の岩が抜けたこともあって1ピッチ目は緊張。

22

霞沢岳八右衛門沢

無雪期バリエーション初心者(ルンゼ登攀)。 八右衛門沢は一般道ができるまでは霞沢岳の最も容易な登路、ウェストンも奥穂南稜再登の前に岩トレ目的で登っている(1913年)。無雪期は奥穂南稜同様(それ以上に)入山者がなく、踏跡を当てにできるコースではなかった。下部には水流があるが(1650m~三本槍沢出合)、基本的に涸れた急なルンゼ登りに終始する。チョックストーンのある涸滝が連続し、直登(Ⅱ+~Ⅳ)も高巻き(歩き難いザレの急斜面)も私たち初心者には結構厳しく時間がかる。

23

西岳・星穴岳

無雪期バリエーション入門(一部登攀のある岩稜縦走かつては一般ルート 主稜のコル~星穴岳は、かつての登山道がかなり再生されていて(踏跡が明瞭になりつつある)、ルートファインディングは難しくなかった。 岩場はⅢ程度のごく短いものが何箇所かあるが、もし、表妙義縦走路に鎖がなければ、ここより難しいと思う。 ただ、このルートに来る人の目的は星穴見物が大半であるから、登頂後、頂上の少し手前からの2回の40m懸垂が核心となる(50mロープ2本必要)。クライミング入門レベルで十分行けるが、懸垂下降が確実にできる、基本的なロープワークを習得していることが必要。むしろ本当の核心は、下山のルートファインディング。所々あるテープや切れ切れの踏跡を頼りに、稜線南側の尾根や涸沢をトラバースして中之岳神社へ戻る。

24

厳冬期 赤岳西壁北峰リッジ(赤岳主稜)

冬期バリエーション初級(短い岩壁を含む岩稜登攀) 2級下(④)or2級上(⑤)/Ⅳ-(④)orⅣ(⑤)/2時間半~4時間/350m・9P 北峰リッジ(赤岳主稜)は、ピッチ数は多いが(全てスタカットで登れば9P)、Ⅲ+程度の短い岩場が数か所あるだけで大半は岩稜歩きのルート。支点も多く普段クライミングの練習をしていてアイゼン登攀の経験があれば、初めてでも比較的安全に挑戦できるルートだと思う。同レベルのルートに石尊稜(横岳西壁)があるが、こちらは阿弥陀北稜をそのままスケールアップしたような印象(岩稜部分は然程長くないものの、ランナウト気味だし、一定レベル以上の雪上技術を要する雪稜もある)。

25

空木岳池山尾根 

小地獄(迷尾根基部のトラバース)・小地獄手前~迷尾根の頭(直登の冬道、トラバース道ではない)は冬期バリエーション初心者レベル 陽当たりの悪い池山尾根は1800m以上は完全な雪道で、アイスバーンになっている箇所もあった。このため、①大地獄・小地獄(迷尾根基部のトラバース)、②小地獄手前~迷尾根の頭(冬の直登路でトラバース道ではない)の通過は気が抜けなかった。

26

北岳バットレス第4尾根主稜

無雪期バリエーション初級(マルチピッチクライミング) ((参考)2010年崩壊前のグレード:3級/Ⅴ-/④/2~3時間(第4尾根テラス~終了点)9P) このルートは、その取付へ行くための前段階として①下部岩壁~横断バンドの通過に4P(Dガリー大滝から登った場合)、②第4尾根下部リッジに3Pがある(今回は②はパス)。それに③主稜ルート本体の10Pを加えると(マッチ箱の懸垂を含み従来ルート8P+崩壊後の新ルート2P)、17Pのクライミングとなる。また、2010年10月の崩落事故以降、従来の最終ピッチに替わって加わった城塞ハングの2ピッチ(崩壊リッジのトラバース+被ったチムニー)が、従来ルートより困難で(かつてのDガリー奥壁最終ピッチのバリエーションⅥ(5.9)という噂)、時間的にも技術的にも少々不安だった。

27

滝谷ドーム中央稜 

無雪期バリエーション初級(マルチピッチクライミング) 3級/Ⅴ/③/2~3時間/190m・5P 憧れの滝谷で、オールフリーかつポピュラーなルートとして、「ドーム中央稜」はかねてより目標の1本だった。 ルートグレード・最高ピッチグレードの面から判断すると、バットレス4尾根と大差ないと思っていたが、こちらの方が傾斜が強いし、不慣れな内面登攀の部分が多く、私たちには1ランク難しく感じた。ただ、歩きの3P目を除き、どのピッチにも核心部分があり、もう少し実力がつけば、変化に富んだ楽しいルートだと思う。 まず、1P目の核心は、上部のオフウィドゥス~チムニー。ここは、窮屈な体勢でバックアンドフットを強いられ、体力を消耗したが、ピンは多いし、チムニー途中にレッジがありレストできるのが有難い。 2P目は二人で意見が分かれるところ。妻(リード)は、最上部のスラブ(ガバを取る前のカチでスメアの一歩)、フォローの私は、その前のカンテ右側面のつるつるフェースが難しく感じた。 4P目は左右にルートが分かれており、ルートファインディンが難しかった(ある意味一番の核心)。リードの妻は、下部は右ルート、上部は左ルートに移ってこれを登り、CS下のテラスでピッチを切った(本来はCSの上が終了点)。両ルートを繋ぐ部分は逆層のフェースで今回一番手強かった(体感5.8~5.9で私はA0)。 5P目は、最上部のハング気味のクラックが核心とされるが(Ⅴ)、キャメロット#3をセットし、ジャミング2手で無難に突破。むしろ、テラスからCSのあるチムニーへ入る部分(本来4P目で妻が残した宿題)の方が怖かった。ここはランナウト気味だし先の様子が分からないので、難しいというよりルートミスしていないか不安だった。また、CS下からのスタートでは逆Sラインとなり、ロープが流れず苦労した。

28

チンネ左稜線

無雪期バリエーション初中級(マルチピッチクライミング) 4級下/Ⅴ/(③⑤⑥⑧⑨)/3~5時間/440m13P

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